バードアイランド
南アフリカは美しく延びる海岸線に恵まれた国。そして沖合の海へ少し出れば、この国ならではの美しさをさらに堪能できます。ポートエリザベスの沿岸部には小さな島々がバードアイランド海洋保護区(Bird Island Group Marine Protected Area)を形成しています。
なぜバードアイランドと呼ばれるかというと、沖合に点在する島々には絶滅の危機に瀕しているアフリカペンギンやケープカツオドリの貴重な繁殖地になっているから。むろん、自宅に出入りするように気軽にこの島へ立ち入ることは許されませんが、野鳥(そしてサメ)が好きな人にとっては船で周辺をクルーズするのにこの上ない場所です。
これらの島々はさほど大きくはなく、中にはちょっと威勢のいい岩が海面に顔を出している程度ですがケープカツオドリ、アフリカペンギン、ベニアジサシ、ナンキョクアジサシ、ミナミオオセグロカモメたちが南アフリカ最大の群生地を形成しています。アドゥー・エレファント国立公園(Addo Elephant National Park)が海側へと拡張されたのを受け、これらの島々は南アフリカ国立公園局(SANParks)の管理下に置かれるようになりました。
これらの島々は重要な野鳥生息地としても指定されていますが、これにはもっともな理由があります。南アフリカに生息しているカツオドリとペンギンの群れは、これらの島々にとても大きく依存しているのです。
周辺の海域にはホホジロザメが泳ぎ回り、ブラックロックス(Black Rocks)と呼ばれる小さな島に生息するアシカやアザラシを狙っています。辺りでは様々な種類のクジラも回遊しており、巨大なミナミセミクジラの姿も見られます。
ゆったりと泳ぎながらブリーチングやロブテーリングを見せるミナミセミクジラほどの見応えはないものの、泳ぎの速いニタリクジラや、毎年5〜11月の渡りの季節に北上するザトウクジラなども観察できます。
島々の周辺を船でクルーズする際には、バンドウイルカをはじめとしたイルカ達にも目を凝らしてください。海の生物を愛する人にとっては、ここはまさに楽園なのです。
バードアイランド海洋保護区の一部となるこの周辺は禁漁地区に指定されたことに伴い、一部の魚資源が回復しています。この恩恵をすぐに享受したのが、イワシやアンチョビを求めて遠くまで泳ぐ必要がなくなったペンギンたち。
これらの島々は観光客が上陸できる場所ではないので、船でのクルーズがこれらの島々の魅力に出会える唯一の手段となります。またホホジロザメが生息しているため、この海域ではダイビングも許可されていません。誰だってサメの餌にはなりたくないですからね。
東ケープ州を訪ねる際には、ぜひバードアイランド海洋保護区を訪ねてみてください。自然の美しさに触れることで、大切な自然を守るための決意を新たにするに違いありません。
旅の計画に役立つヒントと情報
◆問い合わせ先
ラギー・チャーターズ(Raggy Charters)
電話:+27 41 378 2528、+27 73 152 2277
Eメール:info@raggycharters.co.za
◆アクセス
ポートエリザベスから2時間ほどの沖合に浮かぶ島々へは、ラギー・チャーターズをはじめ、数多くのクルーズ会社が船を運航していますが、定期便はないのでご注意ください。
◆ベストシーズン
不思議に思われるかもしれませんが、海鳥(が飛んでいる姿)を観察するのに最適なのは風が強く吹いている時です。
◆持ち物
晴れた日でもジャケットは用意しておくこと。できれば防水加工されているものが好ましい。双眼鏡もお忘れなく。
◆宿泊施設
ポートエリザベスには様々な宿泊施設が揃っています。
◆食事
「ジャッフル」と称された一風変わったトースト・サンドイッチは、東ケープ州にしかない名物。
★ご存知ですか?
バードアイランドには灯台が設置されており、鳥たちは人間の往来には慣れています。