

トランスカイの「ホール・イン・ザ・ウォール」
ワイルドコースト(Wild Coast)のすぐ近く、東ケープ州のコーヒーベイ(Coffee Bay)の南にある“壁の穴”、ホール・イン・ザ・ウォール(Hole in the Wall)は、自然の岩で形成された印象的なアーチ。付近には同じ名称が付けられた小さなバカンス村もあります。このアーチは砂岩や頁岩に絶えず押し寄せる波に侵食されることによって数百万年前に形成されました。でこぼこな岩が織りなす不思議な景観の中を散策しながら大自然が織りなす姿に魅せられていると、心身ともに癒されてすっかり若返ることができます。
この岩だらけの景色が広がるワイルドコーストの一画、コーヒーベイの南側には、ビーチ好きや家族連れ、観光客、釣り愛好家など、多くの人が年間を通じて訪れています。一瞬で目を引く形状を呈するホール・イン・ザ・ウォールはエッカ頁岩と砂岩で構成されており、上部には硬い火成岩を頂いています。ムパコ川(Mpako River)の河口に形成されたこの岩にまつわる数々の興味深い伝説は今に語り継がれています。この辺りはコサ語で「音の地」を意味するエシカレニ(esiKhaleni)と称されていますが、一定の条件が整うと岩に打ち寄せる波が割れるような音を鳴り響かせたり、嵐の際にうなるような音を発することに由来するという説があります。これとは別にコサ族に伝わる神話に登場する「海族」の人物と恋に落ちた少女に関係があるという説もあります。少女を深く愛していた海族とその仲間は巨大な魚の力を借りてラグーンの壁に穴を開けて少女に会いに行き、少女はそれ以降姿を消してしまったと伝わっています。この説によると海族の声と歌がesiKhaleni という名の由来とされています。
いずれにせよ、ホール・イン・ザ・ウォールはワイルドコーストで最も不思議な観光名所のひとつに違いありません。地質学者によると、壁を構成している崖はかつて陸地と繋がっていましたが、より柔らかい砂岩を打ち付ける絶え間ない波が岩を侵食。硬い火成岩の内側を構成するさらに脆い頁岩と砂岩も同様に侵食されることによってアーチが形成されました。このアーチは先祖が眠る世界への玄関口であると地元の人は信じています。
人里離れたホール・イン・ザ・ウォールではバードウォッチングや自然散策、ハイキング、釣りなども楽しめます。数多くあるリゾートや宿泊施設の目の前には美しいビーチが広がっており、家族で楽しむのに適した穏やかな湾が形成されています。ひと気のないこの場所は手つかずの風景が残るトランスカイ(Transkei)の海岸を散策しながら、のんびりと休暇を過ごすのに最適な場所です。
旅の計画に役立つヒントと情報
◆問い合わせ先
ホール・イン・ザ・ウォール・ホテル & ホリデー・ビレッジ(Hole in the Wall Hotel & Holiday Village)
電話:+27 47 575 0009
携帯電話:+27 83 317 8786 または +27 87 150 6095/6
Eメール:holeinthewall@firstresorts.co.za
◆アクセス
最寄りの空港はイーストロンドンかダーバン。イーストロンドンからはN2号線でイドチワ(Idutywa)、クヌ(Qunu)を経由してスワララ(Swalala)の酒屋の角で右折しビッジズビル(Vidgesville)への道に入ります。そのまま道なりに進み、ホール・イン・ザ・ウォールへの最初の脇道を過ぎて、コーヒーベイ方面へと進んで行くと道路が砂利道になります。左側を通行しながら海岸沿いにこの道を7~8kmほど進むとホール・イン・ザ・ウォールに到着します。イーストロンドンからの距離は約200kmですが、ウムタタ(Umtata)からホール・イン・ザ・ウォールまでの道のりは舗装状態が悪いこともあって約4時間を要します。ダーバンからは約400km。
◆ベストシーズン
ワイルドコーストは通年で楽しめます。6〜7月にかけては何千匹ものイワシがイルカやサメ、海鳥に追い立てられながら南アフリカの東海岸を移動する毎年恒例のサーディンランが見られます。
◆地域周辺
近くのコーヒーベイを訪ねてみましょう。コーヒーシャック(Coffee Shack)というバックパッカー向けの宿泊施設があることも手伝って、賑やかなナイトライフが楽しめます。
◆周辺情報
車を利用するのが最も便利。
◆滞在期間
ゆっくりと時が流れるワイルドコーストの魅力を楽しむには少なくとも2~3泊は必要。できることなら1~2週間の滞在がおすすめ。
◆持ち物
水着、日焼けローション、サングラス、ウォーキングシューズ
◆宿泊施設
ホール・イン・ザ・ウォール・アンド・ホリデー・ビレッジがおすすめ。自炊式の宿泊施設でシャレーは2人で1泊約500ランド、最大10人での利用が可能なシャレーは人数を問わず1泊約1,300ランド。レストランも併設されています。
◆食事
新鮮なシーフードがおすすめ。自分で釣り上げても構いません!
★ご存知ですか?
ワイルドコーストはビーチで牛が反芻する姿を目にできる数少ない場所のひとつです。