クラインカルー地方の拠点、西ケープ州のオーツホーンとその周辺
ケープ地方で人気のガーデンルート(Garden Route)から内陸部へ向かい、息をのむほど美しい山道を通り抜けて、赤い岩が点在するクラインカルー(Klein Karoo)の大地が広がると、ダチョウ王国としてかつて世界にその名を馳せたオーツホーンの街に到着します。王族や皇帝、マハラジャ、上流階級の人々はかつて世界最高級のダチョウの羽毛で自らを飾り立てていました。
南アフリカを訪れる多くの人は、風光明媚な観光ルートとして知られるガーデンルートの名を耳にしたことがあるでしょうが、ジョージ(George)から壮麗なオウテニカ山脈(Outeniqua Mountain Pass)を越えた内陸部に広がる、驚くほど美しいクラインカルーの半砂漠地帯について知っている人はあまりいません。
クラインカルーの中心部にはダチョウ王国として、かつて世界に広く知られたオーツホーンの街があります。今日、この街は様々な見どころを擁する観光地として世界各国の旅行者の間で人気を博しています。
街から半径30kmの範囲には興味をそそるアトラクションがいくつかありますが、中でもカンゴー洞窟(Cango Caves)は一般公開されている洞窟としては世界有数のものとして世界的に広く知られています。ここを訪れる際には事前のツアー予約が必須となりますのでご留意願います。
オーツホーンから車で35kmほどのスワートバーグ山脈(Swartberg Mountains)の麓には、長い歴史を誇るデ・ラスト(De Rust)の村があります。街のメインストリートは美しい並木道になっており、19世紀の建物が多く残されています。
ドライブが好きな人には、オーツホーンから近距離圏内で美しい自然景色が楽しめる2本のルートがおすすめ。
イチオシのルートはスワートバーグ・パス(Swartberg Pass)でプリンス・アルバート(Prince Albert)の街へと向かうルートで、つづら折りの道が続き、ドラマチックな山の風景を堪能できます。この有名な峠道は19世紀の道路エンジニアとして讃えられたトーマス・ベイン(Thomas Bain)が最後に手がけた道路で、彼の最高傑作とされています。
もうひとつのおすすめルートはメイリングスポート(Meiringspoort)を経由してクラインカルーとグレートカルー(Great Karoo)を結ぶ25kmの曲がりくねった道で、砂岩の絶壁がそびえ立つケープ褶曲山脈(Cape Fold Mountains)の間を抜って、グルート川(Groot River)を25回も横切りながら進んでいきます。
またオーツホーンは国内最大のアフリカーンス語アートフェスティバル、KKNK(Klein Karro Nasionale Kunstefees)が開催されることでも知られています。毎年イースターの時期に開催されるイベントには俳優やアーティスト、ミュージシャン、詩人などが集い、独自の言語の素晴らしさを讃えます。
オーツホーンの街を世界に広めたダチョウについて、簡単にご紹介しましょう。1800年代後半、その高いファッション性でもてはやされたダチョウの羽毛は、世界中の王族やマハラジャ、皇帝、デザイナーから引っ張りだこでした。
ダチョウの羽毛で製作・装飾されたゴージャスなガウンやクローク、帽子などは、かつて最も注目を集めたファッションアイテム(州の歴史遺産に登録された街の中心部にある美しい砂岩で建てられたCPネル博物館に展示されています)としてもてはやされ、最上級のダチョウの羽毛は一組で1,000ポンド(約143,000円)もする高嶺の花でした。オーツホーンの街と周辺のあちこちには「羽毛御殿」が建てられ、クリスマスにサンタクロースが乗るそりはダチョウが引いていました!
しかし狂乱と繁栄も終焉を迎え、一世風靡した高級羽毛の流行りは廃れていきました。一部では自動車の出現が原因となったとも言われています。車内高が低すぎて、ふさふさの羽が折れてしまったからです。戦争と不景気のせいだと言う人もいます。オーツホーンから30kmほどの地点で、5世代にわたって受け継がれる農場、リートフォンテイン(Rietfontein)を経営するコブス&エルマーレ・ポットヒーテルは「生活は厳しいものの、羽毛・肉・革の全てを活用しながらなんとかやりくりしている」と言います。
ダチョウの肉は現在、味もよくコレステロール値が低く健康的であることから注目されると同時に、ダチョウの革はファッションアイテムとして根強い人気を保っています。
旅の計画に役立つヒントと情報
◆問い合わせ先
オーツホーン観光局(Oudtshoorn Tourism)
電話:+27 44 279 2532
Eメール:info@oudtshoorn.com
リートフォンテイン・オーストリッチ・パレス(Rietfontein Ostrich Palace)
電話:+27 44 213 3784
Eメール:info@rop.co.za
◆アクセス
N12号線をジョージから壮麗なオウテニカ山脈を越え、オーツホーン方面へ向かいます。
◆ベストシーズン
年間を通じて好天に恵まれるクライン・カルーでは空気も乾燥しており快適に過ごせます。ただし夏(11~2月)には気温が上昇して非常に暑くなることがあります。
◆周辺の見どころ
CPネル博物館、 スワートバーグ・パス、カンゴー洞窟、ワイン農場、ガーデンルート
◆おすすめスポット
カンゴー洞窟、カンゴー野生動物ファーム(Cango Wildlife Farm)、ミーアキャット・アドベンチャー(Meerkat Adventures)
◆周辺情報
車や徒歩。風変わりな乗り物に挑戦したいならダチョウにも乗れます!
◆滞在期間
少なくとも2泊。
◆持ち物
歩きやすい靴、カメラ、双眼鏡
◆宿泊施設
ポットヒーテル家が5世代にわたって運営するダチョウ農園、リートフォンテイン・オーストリッチ・パレス。
◆食事
言うまでもなく美味しい低コレステロールのダチョウ肉がおすすめ。ダチョウのソーセージ、ステーキ、シチュー、カルパッチョ、コールドカットなどが味わえます。
◆イベント
イベントに関する最新情報はオーツホーン観光局へお問い合わせください。
◆おすすめの買物アイテム
ダチョウの革製品、地産のワインやオリーブ。
★ご存知ですか?
1897年に設立されたリートフォンテーン・オーストリッチ・パレスは、ケープ植民地における最初のダチョウ農園です。