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NEWS一覧2016年12月15日南アフリカ観光業 ニッチな分野への特化とFITの大きな可能性

南アフリカ観光業 ニッチな分野への特化とFITの大きな可能性

南アフリカ観光業界のニュースサイト、ツーリズムアップデート(Tourism Update)のミシェル・コールマン氏は、アジア市場では団体旅行という形態から、特定の分野に関心を持った少人数での旅行形態に向かっていく兆候があると考察している。

南アフリカ統計局は、今年に入って8ヶ月間でアジア市場全体の旅行者数が前年同月比41%増と発表しており、中国からの旅行者数は64%増、インドは27%増、日本は34%増、韓国は46%増となった。旅行者数増加を示したこれらの国々は、南アフリカ観光業の重要な源で、アジア市場は昨年のエボラ出血熱や査証に影響された低迷期を乗り越えて回復を見せている。

南アフリカの観光各地では、この増加傾向を実感している。南アフリカ醸造社(SAB: South African Breweries)は、ヨハネスブルグとブルームフォンテーンでビール博物館『SAB ワールド・オブ・ビア』を運営しており、同社マーケティング責任者のクリスタル・ヴァン・ヘルスディンゲン氏は「査証の問題で経済的にも打撃を受けた昨年と比べ、9月以降アジア諸国からの訪問者が増加している」と言及。また、南アフリカ コーチチャーター&バスレンタル(SA Coach Charters and Bus Rentals)の代表取締役ファニー・ヴァン・ジル氏は「一年を通じてアジアからの旅行者は南アフリカ国内で10〜14日ほどの滞在をする傾向があり、ガーデンルートやケープタウンを好む」と述べている。さらに、現地手配会社ユア・アフリカ(Your Africa)東南アジア市場担当の山脇氏によると、アジア人旅行者は野生動物たちと出会えるサファリ体験を重視しており、一般的に旅程にクルーガー国立公園やマブラ動物保護区、ピーランスバーグ国立公園の訪問を含めることが多いとされている。

一方で、旅程の内容に、関心のあるものや期待感といった新たなトレンドも表れている。南アフリカ観光局アジア太平洋地域プレジデントのブラッドリー・ブラウワー氏は「多くのマーケティングの専門家が共通して述べているのは、人々は物質的なものよりも価値のあるユニークな体験を欲しているということ」と言及。さらに「豪華な旅やショッピングは根強い需要があるが、アジア人が旅行の行き先を選ぶ上で、美味しい食事やリアルな文化体験がより価値のあるものとなっている。多くのアジア人、特に中国人、日本人、韓国人旅行者は、地元の人々と出会い交流する中で、彼らの文化から学ぶことを望んでいる」と述べている。

この新たなトレンドにおいて、ユア・アフリカの山脇氏は、グルメおよび花や鳥といった特定の関心事に特化したツアー動向を注視しており、同社日本市場担当の鈴木氏も、日本人が花に対して抱いている特別な関心が、南アフリカの桜とも称されるジャカランダに結びついていると考察。また、南アフリカ観光局のブラウワー氏は、将来的にアジア市場における旅の行程は特定の分野ごとに細分化され、多くのアジア人は現在大半を占めている団体旅行から離れ、小さなグループもしくは個人旅行が増えると予測。海外個人旅行(FIT)における新たな機会が業界で増えていくと考えている。

アジア人旅行者の層もまた同様に変化しており、これまで大半を占めていたシニア層とともに、若い世代の旅行者が増加してきていると山脇氏は実感している。旅行アプリやソーシャルメディアの利用増加が影響している可能性もあり、ブラウワー氏は、FacebookやLINEなどのソーシャルメディアはデジタルに強い情報通の若い旅行者を惹きつける上で、潜在的に非常に効果の高いチャンネルであると考える。

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