現存する世界最大のクレーター、フレデフォート・ドーム

テーブルマウンテン（Table Mountain）と同じ大きさの小惑星が秒速20kmで地球に衝突することを想像してみてください。小惑星は複数の核爆弾よりも激しい威力で地中17kmの地点まで深く食い込み、巨大なクレーターを生成し、世界遺産に登録されるに至ります。

これは現実に起こったことで想像は不要。幸いにもフレデフォート・ドーム（Vredefort Dome）を生成した隕石が衝突したのは、現在知られている生命が存在する20億年以上前と推定されています。

隕石が衝突した後、粉々になった岩の粉が数カ月にわたって地球に舞い落ち、日差しを遮断しました。しかし奇妙なことに、科学者たちはこれによって地球上の酸素が生命を生み出せるレベルにまで上昇した可能性があると考えています。この一大事変は、現在のフリーステート州パリス（Parys）付近にフレデフォート・ドームを生成し、世界遺産として登録されています。

直径10kmほどの巨大な隕石は、大気を通過する際に発生する熱とともに、轟音を立てながら目もくらむような火の玉となって地球に衝突。衝突の際に外側と下側の岩の層がきしみ3カ所で隆起し、はるか遠くのヨハネスブルグやノースウェスト州にまで広がると同時に、花崗岩と金が地表へと押し出されました。このすべてが数分の出来事だったとされています。

約2億年前にバール川（Vaal River）がフレデフォート・クレーター（Vredefort Crater）から流れ出し、やがて古代サン族を筆頭にソト族、ツワナ族、ボーア人、イギリス人、そして一獲千金を狙う金探鉱者がこの川を目指して集まってきました。皮肉にも激動の過去を持つこの場所は、時が経つにつれて心身を癒す静寂な聖地へと変貌を遂げて、周辺では様々なレジャーが楽しめるようなりました。

世界遺産に登録されたフレデフォート・ドームの一部地域では、土地の所有者たちが管理人としての役割を務め、過剰な開発からこの場所を守っています。彼らはB&Bや会議施設の他、フレデフォート・ドームの地形を活かしたアドベンチャー・アクティビティ施設を運営。周辺では岩山の頂上からのアブセイルや鉱山トンネルの探検、バール川の急流を下るラフティングなどが体験できます。またアクティビティの合間には鉄器時代や石器時代の遺跡、花崗岩の採石場、近くの街パリスでのアンティークショップなどへの訪問が楽しめます。

【旅の計画に役立つヒントと情報】

◆問い合わせ先
フレデフォート・ドーム
電話：+27 18 299 5371 または +27 18 293 2818
Eメール：helpdesk@vredefortdome.org

パリス観光案内予約センター（Parys Tourism Information and Bookings）
電話：+27 56 811 2000
Eメール：support@parysinfo.co.za

◆アクセス
車でヨハネスブルグから90分、プレトリアから2時間。

◆ベストシーズン
通年で楽しめます。涼しくなる冬（5～7月）はハイキングに適しています。

◆地域周辺
パリスはアンティークや美術品の収集家の楽園と言われる街。周辺では熱気球、急流のラフティング、四輪バイク、四輪駆動車専用コース、乗馬など数多くのアドベンチャー・アクティビティが楽しめます。

◆周辺情報
ドームはパリスから車で20分の地点にあります。自分の車がなければツアーガイドを手配してパリスから案内してもらいます。

◆料金
半日ツアーは一人当たり約175ランド（ランチ付きで350ランド）。終日ツアーは約235ランド。

◆滞在期間
ドームの見学自体は半日あれば可能ですが、周辺のアドベンチャー・アクティビティを楽しむ際には数日の滞在が必要。

◆持ち物
ウォーキングシューズ、帽子、カメラ、日焼け止めが必要。カヤックやロッククライミングを体験する際には水着やハイキングブーツなど適切な服装と道具などを用意しておくこと。

◆宿泊施設
パリスにはB&Bや自炊式の宿泊施設があります。川沿いにはリゾート、ドーム内にもロッジがあります。詳しくはパリス開発フォーラム（Parys Development Forum）またはパリス・インフォ（Parys Info）へお問い合わせください。

◆イベント
11月の第1週にはアドベンチャー・アクティビティとライブミュージックのコンサートなどで構成された毎年恒例のドーム・アドベンチャー（Dome Adventure）が開催されています。また10月には4日間の自転車フェスティバル、クレーター・クルーズ（Crater Cruise）が開催されます。