Spot 南アフリカ観光スポット

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ネルソン・マンデラ・キャプチャーサイト

1962年8月5日、クワズールー・ナタール州の人気のない田舎道で、警察が一台の車を制止しました。運転席にいたのは運転手に変装していたネルソン・マンデラ。マンデラの逮捕後、裁判が何度も開かれましたが、最後はリヴォニア裁判で反逆罪の有罪判決により、27年にわたって投獄されることになりました。クワズールー・ナタール州ミッドランドにあるマンデラの身柄が拘束された場所には、独特の威風を放つ彫刻が設けられています。

マンデラは拘束されるまでの17カ月間、アパルトヘイト工作員による追跡を逃れつつ、アフリカ国民会議(ANC)の議長を務めるアルバート・ルツーリを訪ね、アフリカ遍歴の報告をするとともに支援を要請していました。マンデラはこの何の変哲もない場所で、あまりにも劇的な方法で逮捕され、以来27年にわたる投獄生活のうち、18年をロベン島の獄中で過ごすことになります。

ネルソン・マンデラの「自由への長い道」の始まりから50周年を記念して、偶然にも南アフリカの歴史を決定付けた拘束地点に、物静かながら力強さを備えた彫刻が設置されました。マンデラが逮捕された場所には、レンガを敷いた狭いスペースにプレートが置かれているだけでした。しかしマンデラの逮捕から50年目を迎えた2012年、印象的な鉄製の彫刻とビジターセンターが建造されて以来、この場所が意味する重要性が広く認識されることになったのです。

この彫刻は『マンデラ・キャプチャーサイト(Mandela Capture Site)』と称された新たな記念碑として、2012年8月5日に催された落成式典で、当時のジェイコブ・ズマ大統領によって披露されました。

マルコ・チャンファネリ(Marco Cianfanelli)が創りあげた記念碑による効果は絶大でありながらも一過性なものでした。50本の鉄柱は50年という逮捕からの歳月を表現すると同時に、全体を構成する多くの人を通じて、団結という思想を示唆しています。マンデラの拘束という政治的行為は闘争の象徴としてのマンデラの存在意義を高めるとともに、反体制運動や団結、蜂起を促す大きなうねりとなって政治的変革と民主化をもたらすという皮肉な結果へと繋がったのです。

この彫刻は周囲の風景に影響を与えると同時に、風景からの影響を受けています。一日の時間の経過とともに変化する周囲の光や空気の状況によって見え方が変化していくのです。アパルトヘイト博物館の設立に寄与した芸術家マルコ・チャンファネリが建築家のジェーミー・ローズ(Jeremy Rose)の支援を得ながら創りあげた彫刻は、目の錯覚を巧みに利用しています。遠くから眺めると高さの異なる50本の鉄柱が無造作に立っているようにしか見えませんが、35メートル以内に近寄ると、柱が重なりあってマンデラの顔を浮かびあがってきます。

マンデラ逮捕の日は自由を求める闘争の歴史において、暗く長い歳月の始まりであったのと同時に、マンデラが世界で最も有名な政治犯とし、最終的には南アフリカ初の民主的選挙によって選出される大統領に就任する道のりの起点となったのです。

【旅の計画に役立つヒントと情報】

◆問い合わせ先
アパルトヘイト博物館(Apartheid Museum)
電話:+27 11 309 4728(Noelene Patel)
(『マンデラ・キャプチャーサイト』は現在、アパルトヘイト博物館の管理下に置かれています。)

◆アクセス
N3号線のダーバンとヨハネスブルグの間に位置するホーウィック(Howick)から北西へ約5kmの地点にあります。トウィーディー(Tweedie)からライオンズ川(Lions River)方面へ進み、その先を右折してR103号線へ入ると5分ほど行った場所にあります。標識も設置されているので迷うことはありません。年間を通じて午前9時から午後4時まで訪問できます。

◆ベストシーズン
一年中いつでも訪問可能ですが、夏(11〜2月)はにわか雨が多くなります。

◆周辺情報
この場所はギャラリーやコーヒーショップ、工芸品店などが多数並ぶクワズールー・ナタール州ミッドランド地方への玄関口にあたる地点となリます。

◆ツアー
現地の彫刻展示へ足を運べば、南アフリカの自由への闘争においてネルソン・マンデラが果たした役割について詳しく学べます。

◆周辺地域
車を利用するのが便利。

◆料金
現時点では無料。

◆滞在期間
1〜2時間。

◆宿泊施設
クワズールー・ナタール州ミッドランド地方にはB&Bやゲストハウスなど数多くの宿泊施設があります。またドラケンスバーグ山脈の麓付近にもホテルがあります。

◆食事
金曜から日曜にはプールが併設されたトゥルース・カフェ(Truth Café)で朝食やランチが楽しめます。営業時間は午前8時から午後4時。

◆おすすめの買物アイテム
ネルソン・マンデラの自伝『自由への長い道』を書店で購入するのがおすすめ。また時期さえ合えば、この偉大な人物にちなんで名付けられたマンデラ・プロテアの花も購入可能です。

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★ご存知ですか?

ネルソン・マンデラは1993年にF.W. デクラーク元大統領とともにノーベル平和賞を受賞しました。