地球上で最も壮大な海中スペクタクル! イワシの大群「サーディンラン」
南アフリカでは冬の訪れとともに魚が移動をはじめ、クワズールー・ナタール州の沖合のあちこちで「イワシがやってきた!」という歓声があがります。
このイワシの大群は毎年、ケープ沿岸の産卵場から南アフリカの東海岸へ30日以上かけて一斉に北上します。この海中の大移動には多くの漁師はもちろん、サメや大型の魚、海洋哺乳類、鳥たちが群がり、きらきらと輝く小さな銀色の魚をむさぼります。イワシの群れの多くは巨大な規模で形成され、沿岸の数キロにわたって広がります。これに伴って海面および海中にも餌を奪い合う捕食者の群れが集まってくるのです。
クロヘリメジロザメ、ドタブカ、カマストガリザメなどのサメの群れは、銀色に輝く獲物が織りなす海中の道に続いてイワシをむさぼります。海洋哺乳類や大型の魚たちもこれに参加して獲物を追います。ミナミアフリカオットセイ、ザトウクジラ、ミンククジラ、何千頭ものイルカたちもニシンダマシ、ガリック、ギールベック(ニベ科の魚)などの魚の群れに一気に襲いかかって、無尽蔵に湧き出てくるイワシをかきこみます。
賢いイルカたちは牧羊犬のように、イワシを「ベイト・ボール」と呼ばれる高密度に凝縮された魚群に囲い込む戦術を用います。イルカは水中で力を合わせ、イワシの群れの下でぐるぐる旋回しながらベイト・ボールを海面近くへと押し上げていきます。
イワシが海面までやってくると、鳥たちが空から急降下して海中へと突っ込み獲物を捉えていきます。ケープシロカツオドリ、鵜、カモメなどは容赦なく空からの攻撃を繰り広げます。
イワシの群れが海岸近くを移動する地域では、大物狙いの漁師やイワシを好物とする地元の人々が海に入って、それぞれ自らの取り分を確保します。
冬の間にイワシの大群がクワズールー・ナタール州の沿岸へと泳いでくる理由はまだ解明されていませんが、毎年同じ「サーディンラン」現象が繰り返し目撃されています。5月になると、数百万匹ものイワシの大群がケープ沿岸の冷たい海からクワズールー・ナタール州の暖かい海へと移動をはじめ、魚が集まるにつれて沖合の海を銀色に染めていきます。イワシの大群は7月末までには沖合の海へ姿を消してしまいますので、サーディンランを観察するには時期を考慮して綿密に旅行計画を立てる必要があります。
未だに解明されていない自然界のミステリーでもあるサーディンラン現象。陸・海・空の生物たちが繰り広げる一大スペクタクルは一生に一度は体験したい海中アドベンチャーとして人気を集めており、世界各国からの旅行者が海岸や船上から、シュノーケリングで海にもぐって、サーディンランを目撃しています。
【旅の計画に役立つヒントと情報】
◆問い合わせ先
クワズールー・ナタール州観光局(KwaZulu-Natal Tourism)
電話:+27 31 366 7500
Eメール:info@zulu.org.za
シール/サーディンラン・ネット・エクスペディション(Seal/Sardineun.net Expeditions)
電話:+ 27 21 422 0394
Eメール:info@sardinerun.net
◆ベストシーズン
5月中旬から7月中旬までの期間に旅行計画を立てること。
◆ツアー
サーディンラン現象をカメラに収めたい場合は、海洋生物を専門とする写真家、クリス・ファローズ(Chris Fallows)の同行による撮影を目的とした海へのサファリツアーを取り扱う エーペックス・プレデターズ(Apex Predators)にお問い合わせください。
◆宿泊施設
クワズールー・ナタール州の海岸沿いには多数の宿泊施設があります。詳しくはウェブサイトをご覧ください。ダーバン・ダイレクト(Durban Direct)にも宿泊施設の情報が案内されています。
◆イベント
アフリカン・ダイブ・アドベンチャー(African Dive Adventures)は、ワイルド・コースト(Wild Coast)沿いで5泊のサーディンランのパッケージツアーを販売しています。シール・エクスペディション(Seal Expeditions)では美しいムボティ・リバー・ロッジ(Mbotyi River Lodge)に滞在しながらサーディンランを楽しむ(スキューバダイビング、シュノーケリング、または水面から観察)6泊7日のパッケージツアーを用意しています
★ご存知ですか?
サーディンランの魚群は通常長さ15km、幅4km、深さ40mにもおよびます。