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アデレイ・ストリートのお花売り

ケープタウンのアデレイ・ストリートで目にするお花売りは、街のシンボルであるテーブルマウンテンに負けないほど広く知られています。元気で人懐っこい笑顔を見せてくれる彼女達のアドバイスは機転が利いていて、心踊る美しさと色彩を数多くの家庭にお届けするのに一役買っています。そして興味深いことに、彼女達はケープ地方特有の植物群であるフィンボスの新種発見にも貢献しているのです。

ケープタウン訪問の際にはお花売りで有名なアデレイ・ストリートへと散歩にお出かけください。そしてそこにどんな花が並んでいるかよく観察してみてください。植物学者であるカール・ゼイヘルによる学術的にも貴重な伝説のマーシュ・ローズ・プロテアの発見は、1800年代の初頭にアデレイ・ストリートのお花売りから入手した小枝によって導かれたのです。200年前はフィンボスの新種を発見することはきっと容易だったのでしょう。

今では絶滅種となってしまったメイス・パゴダ・プロテアは、最初に発見した植物学者のトーマス・ストコーがどこに生息していたのか忘れてしまったところ、アデレイ・ストリートの花売りがこの種のプロテアを取り扱っていたことがきっかけとなり1925年の再発見へと繋がりました。アデレイ・ストリートの花売りは摘んだ場所をしっかりと記憶していて、彼に教えてあげたのです。

生息地を忘れてしまうのを奇妙に思われるかもしれませんが、フィンボス種はとても特殊な植物でメイス・パゴダ・プロテアのような種の場合、10数本程度しか繁殖していないことがあるのです。メイス・パゴダは数10年間にわたって絶滅の危機に瀕していたため、生息地は極秘扱いにされていました。ところが皮肉なことに、最後に生息が確認された1960年代初頭、保護を目的に設けられた小さなフェンスに強風で煽られたメイス・パゴダが接触し茎が折れて枯れてしまったのです。

第二次世界大戦時まで、お花売りはフィンボスなどの野生の花をケープタウン周辺で自由に摘みとることが許されていましたが、大戦後には絶滅危惧種の保護を目的に許可届出制度が導入されました。

ケープタウンには華麗なお花売りに関する長い歴史があります。彼女達はいつ頃から存在するのか、様々な説がありますが、ローレンス・グリーンは著書「Tavern of the Seas」で、お花売りは花を売る前にはストロベリーを売っていたと述べています。

笑顔が人懐っこく楽しい会話が得意な女性たちは、ケープタウンではテーブルマウンテンと同じくらい象徴的な存在と言えます。彼女達は父、母、祖父母など家族が代々お花売りに携わってきたことを語ってくれるでしょう。彼女達はお客さんとの会話や冗談が大好きで、機会に応じてお勧めのお花を適切にアドバイスしてくれます。

もちろんプロテアも取り扱っています。近くの農園で栽培されたものになりますが。

★ご存知ですか?

西はテーブルマウンテンからケープ半島、東は東ケープ州の西端まで広大な地域は、貴重な固有種が数多く生息し植物多様性が豊かであることから「花の王国〜ケープ植物区系保護区」として世界遺産に登録されています。