辺り一面をピンクに染めるキンバリーのフラミンゴ
キンバリーのカムファーズ・ダム(Kamfers Dam)ではフラミンゴが彩る希少な風景が楽しめます。色鮮やかなピンク色に身を包んだ数千羽ものフラミンゴが見渡す限りに集うこの場所は、アフリカに4カ所しか存在しないフラミンゴ繁殖地のひとつで、野鳥愛好家なら絶対に見逃せないスポットです。
野鳥に興味がなくても、フラミンゴの大群が織りなす壮麗な景色は生涯忘れることのない思い出として心に刻まれるに違いありません。
ダイヤモンドの街として知られるキンバリーから車でほんの数分の地点に位置するカムファーズ・ダムでは通年で湿地状態が保たれ、約2万羽、時に5万羽以上の野鳥が観察される年もあります。
濾過摂食と呼ばれる方法で食餌するフラミンゴは好物の藻類がふんだんに生息するこのダムに集まってきます。ダムには75万kgにものぼる藻類が群生していると見られます。しかしフラミンゴはこの場所で繁殖するのか、そもそも繁殖できるのか、という疑問がありました。今後もフラミンゴがダムに居続けるか否かは繁殖がうまく進められるかにかかっていたのです。
専門家と協力して、先見のある太っ腹な採鉱会社エカパ(Ekapa)がS字型の人口島をダムの中央に敷設。動物愛護家や野鳥愛好家、環境保護家、多くの市民らはフラミンゴが人口島を新しい家を構えてくれることを祈りつつ、固唾を飲んで状況を見守りました――。
その結果、フラミンゴは島を気に入り、南アフリカ初となるフラミンゴのヒナが誕生。そして現在では、この地に定住し繁殖する大規模な群れのおかげで、世界中から観光客や野鳥愛好家が集まるようになりました。
しかし、これにて一件落着とはなりません。カムファーズ・ダムは現在、未処理下水の流入による環境悪化の危機に晒されています。セーブ・ザ・フラミンゴ協会(Save the Flamingo Association)とバードライフ南アフリカ(Birdlife South Africa)では資金を募り、この貴重な観光名所を保護するために市民の意識を高めるための活動を展開しています。
皆さんもぜひキンバリーを訪問し、フラミンゴを守るための活動を支援してください。
【旅の計画に役立つヒントと情報】
◆問い合わせ先
バードライフ南アフリカ(Birdlife South Africa)
電話:+27 11 789 1122
◆アクセス
キンバリーはN12号線でヨハネスブルグから5時間の地点にあります。カムファーズ・ダムは街の北側に位置しています。
◆ベストシーズン
11〜3月までが繁殖期ですがフラミンゴは通年で観察できます。9月と10月は特に必見で5万羽ものフラミンゴが集まることもあります。
◆周辺の散策
キンバリーからヨハネスブルグ方面へ車で国道を北に向かい、フラミンゴ・カジノ(Flamingo Casino)を目指します。数分進んだ辺りで国道から逸れると、鉄道の高架橋の手前右手に変哲のない道路が見えてきます。標識はないので道に迷ったらカジノのスタッフに尋ねてください。鉄道の線路沿いに延びるこの道路からはカムファーズ・ダムがよく見えます。線路を横切る際には十分注意してください。洪水の際には、この道がフラミンゴが見られる唯一の方法になります。
◆料金
フラミンゴ観察は無料で楽しめます。
◆宿泊施設
キンバリーには素晴らしいゲストハウスやホテルが多数揃っていますが、フラミンゴの生息地に最も近いのはカジノです。
★ご存知ですか?
小規模なフラミンゴの群れはインドにも生息しています。